ミスターいい人【ショート・ショート60】
「どう思う? ミスターいい人」 いつの間にか浸透した二つ名は、僕を見事に形容している。受け入れるのに時間が掛かったのは、いい人という単語の中に組み込まれた幾つかの意味のせいだ。文字面は良いけれど、言ってしまえば蔑みに近い...
「どう思う? ミスターいい人」 いつの間にか浸透した二つ名は、僕を見事に形容している。受け入れるのに時間が掛かったのは、いい人という単語の中に組み込まれた幾つかの意味のせいだ。文字面は良いけれど、言ってしまえば蔑みに近い...
家に帰ることには日付が変わっている。代わり映えのない日々を過ごしていると、感覚が麻痺してしまうことを社会人になって知った。学生時代、日付が変わる深夜の時間帯はワクワクしていた。ゴールデン番組とは異なる深夜番組、寝静まっ...
今日が猛暑日だとラジオで知った。スマホ一つで簡単に情報を調べることのできる昨今で、昔から存在しているツールを通して、かつ誰かの声で情報を得ることは時代錯誤のように思えた。 窓辺の指定位置に置いたラジカセ。周波数を安定的...
夏休みに入って、二週間が過ぎた。普段、キャンパスで顔を合わせる仲間との一時的な別れが寂しく思えるくらいに、僕の大学生活は鮮やかだった。 久し振りの再会は、葛西臨海公園だった。リーダーが言い出したバーベキュー大会は、これ...