「泥にまみれなければ」

とある出来事が連鎖した一日によって
感情を閉じ込めた扉が9つほど壊されて
行き場のない思考に頭を悩ましたのは
少し前の話、今は割と落ち着いている。
そもそも自分の中に感情が幾つもあり
普段は表面化しないものばかりだなと
新たな発見をして自分の知らない顔を知る。
「ジョハリの窓」のことを思い出して
少し懐かしいが胸に広がった。
講義をまともに聞いていたことなんて
正直言えば、数えるほどだけれど
その断片の中でも残っていることは
アインシュタインの言葉を借りれば
「教育」ということになる訳で。
今になって、ちゃんと勉強して
それこそ手を伸ばさなかった
大学院進学なんて方向性もアリかな
なんてことを思うことがあるけれど
あの時は、勉強よりも大事なものが
確かに目の前にあったんだと思い知る。
卒業して、それぞれがそれぞれの道を行き
時に交わることはあったけれども
結婚、出産、色々な社会的な出来事で
疎遠になっていることが寂しい。
多分、そういう考えがあって
何一つ結果を持たない僕は
焦ってみたりとひどく狼狽している。
と言っても僕は僕なりに変化していて
良くも悪くもあの頃の僕ではないから
狼狽する様はひどく滑稽に映るだろうか。
まぁ、それもジョハリの鏡みたいなもんだ。
気にすることではない、でも気になる。
僕は劣等感を抱いて生きていることが
多大なる影響を与えているのだろうな。
早い段階で、僕は劣等感というものに
敏感になって自分を守るために
恐ろしいほどの壁を作ってきた。
気付けば、壁はプライドに変わって
ただでさえ面倒な性格に拍車をかける。
このプライドの高さは面倒な足かせで
生きる上でマイナスにしか働かない。
柔軟性が全く持ってないのだ。
絶対的な芯みたいなものがなくて
それゆえに誰かの見えない物差しが
基準になっている。
嫌われたくない。
その一念は、過剰にあるのかもしれない。
また心のどこかで聖人君子の一面が顔を出し
ありもしない幻想に染まろうとしている節が
行動の方向性を見誤ったりと面倒だ。
このプライドの捨て方を探しているけれど
足を踏み出さない時点で捨てられない。
「文章」という部分では絶対に捨てては
いけないのだろうとは思うけれど
少しばかり柔軟性があってもいいのかな。
なんてことは近頃、感じている。
少しでも高い場所からマウントを取る姿は
ネット上に溢れる誹謗中傷を打ち込む輩と
同義でしかなくて、苛立ちは隠せない。
「あぁ、僕には中身がない」
タバコの煙に込めた認めたくない本心を
吐き出してみても、むなしくなるだけだった。
中身がないことも痛手だけれども
もっと痛いのが自分中心の歪んだ思考回路。
物事の矢印が自分に向いていて
どんどん内向的になっていく。
周りが見えなくなっていく。
認めてくれないが故の自己保身で
またプライドが高くなる、負の連鎖。
真っすぐに、それだけ見る何かが無くて
だからこそ、真っすぐな姿に
思わず感涙しそうになったんだろうなとか
あの一日を振り返って、呆れてきた。
誰かをもてなす余裕も大人の嗜みもなくて
自分の居場所をいかにクリーンにするかを
求めてきていたここ数年の生き様は
まさに愚かで、どうかしている。
過去の自分は、驚くだろうな。
あの頃、成りたくないと思った大人を
見事なまで作り上げているのだから。
それと同時に思春期に抱いた異物を
異物のままにしているからこそ
あの頃からおおよそ変わらない文章の柱。
少しは経験も積んだから
ちょっとは違う視点も入っているけれど
ずっと変わらない異物的な悩みは
年齢を重ねるたびに首を絞めていく。
できないことを羨ましく感じて
否定して、遠ざけて、終わってんな、と。
スマートな人間に憧れてさ
それなりに演じてみてさ
ブランディングできていることあるけれど
多分、僕の本質とはかけ離れている気がするし
囚われすぎて、足が止まることも多い。
ふと、今年の夏に会った大学の友人がこぼした
「お前、そんなスマートじゃないじゃん」
そんな旨の言葉が脳裏に浮かんで
急に恥ずかしくなった。
僕が憧れる理想像は物語に現れる
知的で何もかもを理解していて
絶妙な間合いで助け舟を出す存在。
でも、実際は助け舟を出してもらう側で。
この乖離を認めたくなかった半生だ。
どこで道を誤ったかな、まぁどうでもいい。
もう過去は戻ってこないのだから。
じゃあ、何をすべきかを考えるべきで
辿り着くのはやっぱり友人の言葉だった。
「泥臭く生きるタイプの人間じゃん」
泥臭く生きるって意味を
正しく理解してないけれど
理想形とは真逆にいることくらいは
ぼんやりと分かっているつもりだ。
「泥にまみれろよ」
スラムダンク魚住の言葉が
今日はひどく響いてしまう
センチな夜には尾崎豊がよく似合う。
背伸びせずに、小さい自分を晒して
生きる術を僕は今探している。

たりないのは「判断基準」と「テーマ」

文責 朝比奈ケイスケ

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