大人になるってどんなこと?

最近、不安と向き合っている。
夜になると押しつぶされそうになって
どうしょうもない感情が溢れることも
なんだか日常になってきた気がする。
思い返せば、そんな日々の繰り返し。
驚くほど変化が乏しくて
激しめの刺激を受けても
すぐに形状記憶のスーツみたいに
元に戻ってしまう。
「不安」を抱くのは時間の余白と
今まで積み上げてきたものを
自覚的になれないことが
大きく影響しているらしい。
積み上げてきたものを可視化できれば
少しはマシになるのかなとか思うけれど
そんなことを考える時点で
恐らく、さして積み上げていなくて。
ある意味、ぬるま湯にどっぷり浸かって
狭い世界に生きていることを
ぼんやりとだけれども突き付けられる。
何度も、何度も、思い出すのも億劫なくらい
同じ場面と向き合っているのに
全く持って解決の糸口が見えないから
我ながら、手に負えないなと思う。
目の前のことにばかり目が行って
その先のことまで頭が回らない。
大抵の場合、この状況下で足掻いている。
色の抜けた現実に向き合うのが
シンドくて、あと怖くて
逃げるように描く物語は
身勝手で、自己顕示に溢れる。
使い物にならない思考は
ジワジワと何かを壊していく。
毎回、思うんだ。
今が最悪の状況だ。
だから乗り切れば状況は一変し
見えなかった世界が見えるようになる。
そんなことを思い込ませて
足を動かしたさ、自分なりに。
確かに見えなかった世界は
見えるようにはなった。
それが絶望だと思った今を
下回るなんてのは予想外だったけれども。

友人とライブに行った。
地元の友人達がこぞって好きなバンドだ。
初めて聞いたのは確か中学生の時で
地元のテレビ局で放映されていたPVだけを
流す番組ストロングスタイルの番組。
阿藤快が出演しているPVは印象的だった。
あれから「好きなバンドは?」と訊かれたら
とりあえず、そのバンドを答えるようになった。
大抵、そこから説明に入ることになるけれど
それはそれでご愛敬だとは思うし
とても好きなので苦にはならない。
そんな愛すべきバンドのライブ。
これで二回目、一緒に行った相手も一緒だ。
確か冬で、朝井リョウが文芸誌に上梓した
「ままならないから私とあなた」を読みながら
電車に揺られて地元に帰った記憶が残っている。
なんだか読んでいた小説が記憶と
紐づけされているんだなとか思ってしまう。
夕暮れ時に集合し、スポーツバーで
ハッピーアワーの酒を飲みながら
野球のことを話したり、家庭の話を聞いたりと
いつもと変わらない感じで過ごしていた。
どこかで彼に会うと身軽さに感心してしまう。
彼がカバンを持っていることは少なく
所謂手ぶら、ミニマニストみたいだ。
ボクも一時期やっていた時期もあるけれど
どうしてもポケットには収まらない荷物から
自然とカバンを選択してしまう。
(ライブに行くのにポケットに小説があるのは
抵抗があるし、かと言ってロッカーに
小説だけを入れるのも抵抗がある。
我ながら面倒な人種だと思う)
そんな話をしながら、ラグビーを見つめていた。
開場時間に会場に行っても整理番号の兼ね合いで
入れなかったから、近くのバッティングセンターへ。
ラブホ街でひと際異彩を放つ緑のネット。
懐かしい記憶、少しだけあの頃を思い出す。
サラリーマンでもなかったけど
スーツを着て実習に参加していた。
その帰り道、足繁く通っていた場所。
関わっていた学生が今や二十歳だと思うと
時間の経過を少し掴めそうになる。
でも、それはどこか現実味がなくて。
この感覚は、そこから尾を引いて
ライブ会場にも持ってきてしまった。
知っている曲と知らない曲が入り混じる構成。
殆どの曲をそらで歌えることに驚いた。
それだけ聞いているのだなと感慨深くなる。
でも十年以上聞いてれば、そうなるか。
圧巻のライブ、不慣れながらも
楽しく充実した時間を過ごした。
飯の話になって、アテのない僕らは
ピーターパンスタジオのある
駅の隣に向かい電車に乗り込んだ。
巨人の優勝の行方ってのもあって
二人並んで、スマホとにらめっこ。
そういえばいつかの優勝決定時も
彼と一緒に居たなとか思い出す。
誕生日以来に降り立つ街は
少しばかり賑わいに欠けていた。
適当な店に入って、バーでの話の続き。
ガキの頃から毎日のように顔を合わせて
野球をしていたし、部活も一緒だったから
月日が経った今、酒を飲みながら
子供や家庭の話をしているのは新鮮だった。
多くを語らない印象だった彼だけど
あの頃に比べたら多少語るようになっていた。
時間なのか、年齢なのか。
その理由は分からないけれども
でも確かに変化はあって。
ボクも同じ時間は過ごしているけど
驚くほど変化がないことには呆れた。
量より質。
そんなことを思ったのは帰りの電車。
僕は山里亮太の不毛な議論を聴いていた。
あぁ、確かにボクも変わっていた。
驚くほどジメジメした日陰で過ごし
不安に押しつぶされそうなボクを支える
深夜ラジオっていうクモの糸を持っていた。
あまり口外できない秘密を持って
降り立った最寄駅は、少しだけ肌寒かった。

文責 朝比奈ケイスケ

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