独りよがり【ショート・ショート13】
恋という概念について 因子分解するようになったのは 何歳の頃だっただろうか。 正直、覚えていない。 でも今になっては朝起きて 歯磨きをするくらいの習慣性が 僕の中に確かに存在していた。 人が恋に落ちる。 その原理がやけに...
恋という概念について 因子分解するようになったのは 何歳の頃だっただろうか。 正直、覚えていない。 でも今になっては朝起きて 歯磨きをするくらいの習慣性が 僕の中に確かに存在していた。 人が恋に落ちる。 その原理がやけに...
午後7時過ぎ。僕の足取りは重い。 仕事終わりのスーツ姿ばかりが溢れた 迷路みたいに入り組んだ道を進む。 すれ違う疲れた顔、死んだ面した人々は 日本という国を支える人柱に見えた。 「何かを得るには何かを失わないといけない」...
「Kが自殺した」 そのメッセージがクラスに流れたのは 夏休みが終わる9月2日の夜だった。 あまりに突然のことで部屋の椅子の上で 全ての回路が止まってしまったように 僕は何もできずに、ただ座っていた。 送信相手に確認のメッ...