ハイライト 6
「ねぇ、和樹。今でも茜のこと好き?」 とても鋭い牽制球だった。けれど僕は美沙が何かを切り出すタイミングを計っていたことに気付いていた。ゆっくりと帰塁できる余裕を持っていた僕は、右手で掛けていたメガネ […]
「ねぇ、和樹。今でも茜のこと好き?」 とても鋭い牽制球だった。けれど僕は美沙が何かを切り出すタイミングを計っていたことに気付いていた。ゆっくりと帰塁できる余裕を持っていた僕は、右手で掛けていたメガネ […]
誠治たちがいる席は何度も通されている掘りごたつの個室だった。廊下と席を仕切る薄い引き戸は閉まっていたが、翔平の特徴的でうるさい元気な声が漏れ出していた。どうやら少年誌で長期連載されている冒険マンガの話 […]
卯月の夜の高田馬場駅周辺は、異様な雰囲気が漂っている。新歓という名の飲み会を周辺の大学に通う学生が企画して、今からデモを行うと言っても不思議ではない程に若者で溢れ返っていた。その多くは近くの有名大学の […]
喫煙所にはタバコの煙と笑い声がこもっていた。煙によって視界が良くないが、喫煙仲間である後輩を数名見つけた。僕の存在に気付いた一人が軽く会釈をする。僕は右手を挙げて応えた。 タバコに火を付ける間に狭い […]
地下鉄の長過ぎるエスカレーターの左側に立ち、地上へ送られるのを漠然と待っていた。階段を登るように駆け上がるサラリーマンや女子高生の姿が、僕の横を過ぎ去っていく。僕は女子高生が横を通り過ぎたのを確認して […]
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